去る4月9日~13日に開催しました「杉江能楽堂能装束展」、報告が遅くなってしまいましたが、お蔭をもちまして無事に終了いたしました。
装束展は初の開催、そして数日に渡る終日の開場も初の試みとなりました。
外から見ると“謎の館”の杉江能楽堂。
しかし内部は日常を遮断したような静寂と美しさ。そんな特別な異空間で普段間近に見ることのできない能装束と、敷居が高いと思われがちの「能」や「日本の伝統」に少しでも触れて頂くことができ、私共もこれからに繋がる貴重な経験をさせていただきました。
12と13日は「能れっじ番外編」として、能meets林本先生の能装束講座を開催。
たいへん興味深い内容の講座が展開されました。
中でも紺地の狩衣と青海波の半切が掛けられた「高砂」の装束の説明が印象的でした。
「高砂」は祝言の謡が有名です。しかし夫婦円満や長寿を願うだけの曲ではありません。
季節によって花を咲かせたり実をつけたりせず、四季が巡っても変化をしない「松」の繁栄をなぞりながら、昔の世の中・政治そのものとされた「和歌」の繁栄=「文学」の繁栄につながり、それは「文化」となり、文化の繁栄が「平和」につながる。
まさにこんな時節だからこそ、「文化で平穏な世の中が続きますように」と願うような曲なのです。
和歌の神様である「住吉明神」が颯爽と現れ、春の夕暮れの中で映える「松の緑」のように平和な世の中が、永く続くよう願い、舞う場面が浮かぶようなお話でした。
まんぼう発令中の装束展でしたが、ご来場のお客様のご協力と先生方のお力添え、実行委員会メンバー、かかわってくださった方々のお蔭で杉江能楽堂は平和そのものでした。ありがとうございます。
近いうちに三度目の緊急事態宣言が発令されるようです。
また辛い時期が続きますが、一日も早いコロナの終息と穏やかな日常が戻ることを祈るばかりです。
※次回の催しは「能meets杉江能楽堂」、第2回きしわだ杉江能「鉄輪」の事前講座を予定しております。詳細につきましては後日、当サイト・SNS等でお知らせいたします